herako’s diary

私のための私による私のブログ。整理したいことや、吐き出したいことを練り練りして書いてます。

冬のはじめと秋の終わり

「採用させていただきたいと思います」

電話口で相手はそう言って、明るく笑ったような気配がした。

春から就職活動を始め、夏に内々定を貰って既往歴で取り消され、秋に活動を再開して。この電話一本で、私はやっと肩の力を抜くことができた気がした。

全く予想もしていなかった業界で、職種だ。不安がないと言えば嘘になる。しかしもう一度金融の業界で就職活動をする気にはならなかったし、なれなかった。職種も、希望していた職種は散々向いていないとされて落ちてきた。
それでも、筆記試験を受けて面接を受けて、あなたに来て欲しいですと言われて、嬉しくないわけがない。業界も職種も、自分なりに考え直して応募したものだ。嬉しくないわけがない、ではない。嬉しい。嬉しかった。

すぐに回答をするのは待った。前回の経験もあり、慎重になろうと思ったからだ。大学の就職活動を支援する部署に相談に行って、不安なこともなるべく全て話して聞いてもらい、アドバイスを受けた。友人にも相談した。家族にも相談した。嫌な顔一つせずに話を聞いてくれた。

数日後、私は無事に内定をいただいた。自室から電話をかけて、御社で働かせてくださいと言って、そして少しだけ笑った。
その後、自宅に届いた書類の中にはやっぱり既往歴を問う質問用紙があった。もう、何を書くべきか、書かざるべきか私にはわかっていたけれども。






世間は精神疾患持ちに厳しい。
目には見えない病気は、わかりにくい病気は理解されにくい。所詮その病気の苦しみは、その病気になった人にしか分からない。
どんなに努力して病院に通っても、どんなに適切な治療を受けても、その病気になったという経験それ自体に突っ込まれたら、私達には逃げ場がない。

うつ病になった理由は、原因はと聞かれて正確に答えられる人などいるのだろうか。これは以前、私のうつ病という既往歴を理由に内々定を取り消した企業から聞かれた質問である。うつ病になった原因は?
そもそもそれを聞いて何を言わせたいのだろうか。私の心が弱かったからです? 環境が合わなかったからです? 何を答えてもこちらが不利になることに変わりはない。知られた時点で、逃げ場はないのだ。


それでも生きていきたい。働きたい。
自分には何もできない、社会にはもう二度と出ていけないのだと決めつけて、暗い部屋の中布団から出られずに天井を眺めるだけの日々には戻りたくない。おかしいことだろうか。
うつ病が甘えだと、心が弱いからそうなったのだと言われることもあるが、ではその現状から抜け出したいと思うことは決して弱さではないはずだ。私は弱くない。強くないけれど弱くはない。うつ病になったことだって、そのあと必死に治ろうとしたことだって、社会で生きていきたいと願ったことだって弱くないことであるはずなんだ。



社会に出て、働いていくうえで私はきっと誰かに迷惑をかけるのだろうと思う。
もしかしたらうつ病が再発するかもしれない。体調を崩すかもしれないし、ある日不慮の事故で突然死ぬかもしれない。
けれどそんなこと誰だって同じだ。その迷惑も含めて世界は回っている。この先どうなるかだなんて分からないし、不安で仕方がないけれど私は今本当に良かったと安心している。働きたいと思った自分の希望への道が、ちゃんと繋がったことに。


身体的にも精神的にも安定するよう心がけながら、これから残りの大学生活を過ごしていこう。
寒いけれど、症状が悪化しないように薬やカウンセリングなどを使ってコントロールしていこう。卒論などで忙しい時期だけど、なんとかなる。大丈夫。
きっと、明日も良い天気になる。



そういえば。私の内々定を取り消した企業だが、まだ新卒が集まらないらしい。
人手不足というのも、なんだかおかしな話である。