カウンセリングと私

私がカウンセリングに通って、3年と少し経った。体調と相談して、週一、または隔週で通い続けている。家庭の悩み、大学生活の悩み、人間関係の悩み、そして病気の悩みなど、様々な悩みをカウンセラーに吐き出して、解決策を探る手助けをしていただいている。日によっては、ただの雑談や愚痴になるときもあるが、このカウンセリング、大抵は非常に疲れるものだ。カウンセリングのあとに体調を崩したり、急に落ち込んで寝たきりのようになることもある。

今現在は大学のスクールカウンセラーのもとに通っているが、入学前は通院先の病院でカウンセリングを受けていた。初めてカウンセリングを受けたときは、何を話せばいいのかさっぱりわからずに、ひたすら下を向いて黙っていた。沈黙が恐ろしかった。その頃うつ病の症状がひどかったこともあって、何か発言しようものなら怒られるのではないかとさえ思っていた。結局、私はその病院のカウンセラーには重要なことは何一つ話すことができないまま、大学に入学した。
入学後、大学にもカウンセラーが常駐していると聞いて母に勧められるまま、再び私はカウンセリングを受けることになった。母は私に、「暗い考え方を矯正するため」とカウンセリングを受けることを何度も勧めてきていた。仕方なく私はまた、カウンセラーのもとへ通い始めた。
初めは雑談。今週何があったか。大学には慣れたか。何か困ったことはないか。
当たり障りのない回答のできる話題ばかりを選んで、カウンセリングの時間は過ぎていった。半年ほど経った頃、カウンセラーにも慣れてきた私は自分にカウンセリングは必要ないと思う、と正直に言うことにした。カウンセラーの女性は本当に優しげな方で、何を言っても怒られることはないだろうと私は考えたのだ。すると、彼女はそうは思わないと言って、これからもカウンセリングには続けて来てほしいと頼んできた。私はとても不満だったが、断ることもできずに引き下がった。
しばらくして、大学に通うことにも慣れてきた頃、急に体調を崩した。布団から起きられなくなり、講義に出ることはおろか人の声すらも不快になった。その後また外に出られるほど回復したとき、私はカウンセラーに、もうしんどくなりたくないと言った。カウンセラーは、メモを取りながらぽつぽつと私の話すとりとめのない愚痴を聞き、そういう話をもっと聞かせてほしいと言ってくれた。自分が苦しいと思う出来事について話すことは、非常に疲れたし大変だった。けれども、言語化するというのは不思議なもので、確かに大変だがそのあと少し楽になるのだ。頭では分かっていたが、いざ自分がそれをするとなると自分には他人に話すほどの苦しみなどないと、ためらってしまう。それから、私は少しずつ自分の中にため込まれていた苦しさやつらさを、他人に吐き出すようになった。
今、カウンセリングに行くと私は自分から話題を見つけられる。今週あった嬉しかったこと、楽しかったこと、できたこと、できなかったこと、苦しかったこと、嫌だったこと。ふと思い出したことがあれば、会話の途中にでも昔話を挟んでしまう。小さい頃に経験した嫌なこと。楽しかったこと。そうやって何でもいいから言葉にしていくうちに、なんとなく見えてくるものがあったりなかったり。そんなことを繰り返して、少しずつ少しずつ自分が何に困っているのか、何がしたいのか、何をすれば楽になるのかを探している。

カウンセリングを勧めると、大抵の人は尻込みすると思う。私も何人にも勧めたことがあるが、一度もいい返事が来たことはない。「人見知りだから」、「話すことがないから」、「話しても意味がないから」。お金の問題はなんともならないが、気持ちの問題なら、一度試してみたらいいのにと思っていたりする。私も最初、他人に自分の悩みを聞いてもらって何の意味があるのかと思っていた。そもそも、私は自分のことを誰かに話すのが苦手だった。相談を受けることは多くても、相談する側になることはあまりなかった。だが、一人で抱え込むのはつらい。苦しいのだ。溜め込んだ負の感情が行き場をなくしてどうしようもなくなる前に、吐き出さなくてはならない。
思うに、カウンセリングとは「膿を出す」作業なのではないか。どんどん溜め込まれていく負の感情は、やがて様々な出来事と混ざり合って複雑によどんでいく。それを繰り返して増えていった膿のようなよどみを、出口を作って外に出してやる。もちろん、出すときはめちゃくちゃ痛い。ニキビを潰すときもそうだ。化膿したところから膿を摘出するのも。擦りむいて出来た傷が膿んで、それを取り除かないと傷は治らない。けれどそれは、一度傷ついたところがまた痛むことをしなくてはならないということ。もう一度傷をえぐらなければならないということ。まあでも、膿を出してしまえばあとは傷の治りは早いだろう。ついでに運が良ければ、どうして膿んでしまったのか分かるかもしれない。

つらつらとまた私が思っただけのことを書いてみた。ここ最近体調が悪く、何もする気になれなかったのだが今日は体調が良かった。このまま上がり調子でいってくれればいいなあと思う。それと台風は月曜の朝に暴風警報を出してくれ。頼むぞ。
明日もいい日になるといい。