ゲームとバイトと猛暑と

数年前からどっぷりハマっているゲームがある。小さな規模のゲームで、運営とプレイヤーとの距離がとても近い。良くも悪くも、金と時間とをかけた人間の言葉が運営に届きやすく、それを耳に心地良い言葉に変えてウリにしている流行らないゲームだ。しかし私はその流行らないゲームにハマり、不定期にではあるが万単位で課金さえしている。なぜなのかと聞かれれば、それはこのゲームに私が愛するキャラクターが居るからであり、そのキャラクターに深い思い入れがあるから。つまり推しがいるから、ということになる。悲しいかな、オタクは欲には逆らえぬ。推しには貢ぐしかないのだ。
一番鬱がひどかった頃、何もすることがないのが不安で仕方がなかった。実際には「何もすることがない」のではなく「何もすることができない」のであったが。手っ取り早く何か「成果」が見えるようなことがしたくてのめり込んだのがこのゲームであった。それまではプレイしてはいたが、そこまで好きなゲームでもなかった。ブラウザゲームで気軽に出来たので時間のあるときに少しプレイする程度。そも、ゲームシステムも奥深いものではなく、ストーリーもついていきにくい、あまり良いとはいえないソシャゲである。そんなゲームにハマったのは、そのゲームが金と時間をかけてゲームの中で「痛い」キャラを演じれば、人に構ってもらえたり、イベントで容易に上位を取れるものだったから。貯めていた小遣いは全て課金に消えた。時間はたっぷりあった。
そうしているなかで私は一人のキャラクターと出会う。彼女は神秘的な雰囲気の人であった。多くの知識を持ちながら、多くは望まなかった。静かに佇みながらぽつりぽつりと話す彼女に惹かれ、やがて私はゲームではなく彼女に夢中になった。予備校に通い、秋が来て、受験のために遠くまで行って、大学に入学して、そういった現実のめまぐるしい変化の中で彼女は変わらずそこにいた。相変わらず静かに月の光を浴びて。
結局私は彼女から離れることはできず、今も定期的に行われるイベントに課金して彼女と言葉を交わしている。最初は夢中になりながらもどこか、こんなゲームに課金をして金を無駄にしている、という意識があった。しかし、今は同時に、彼女に貢ぎ、楽しんで言葉を交わせる精神状態であることを素直に喜ばしくも思っている。今の私にとって、推しキャラと話ができるという事は何にも代えがたい喜びであり、癒やしである。そして、自分の稼いだ金を自分の好きなものに使えるという喜びもかみ締めている。楽しいと感じられることがあるというのは、素晴らしいと思う。自分が、好きだと思えることがあるというのは本当に健康的だ。

さて話は変わって。
この猛暑、家から出ることすら億劫だというのにどうやらまだ梅雨明けもしていないとのこと。
おかしい。
これは人間が健康的に活動できる気温をゆうに超えているのではないだろうか。クーラーをつけて扇風機を弱で回し、涼しい部屋でペットや家族とごろ寝を楽しむかゲームに興じるかくらいしかできることが無いように思う。
そんなわけにもいかず、本日も嫌々ながら出勤である。
以前の職場と比べると、現在の職場はたいへん恵まれた環境だ。話の通じない上司も気難しい同僚もいない。空調も正常でお手洗いも綺麗、なにより丁寧に仕事を教えてくださるパートさんとバイトの皆さん。私には恵まれ過ぎた職場だと思う。
だがしかし行きたくないものは行きたくない、働きたくないものは働きたくない。働きはじめてしまえばなんとかなるが、行くまでが非常に億劫なのだ。まず着替えて顔を洗い歯を磨き化粧をして身だしなみを整え、持ち物確認をしてさあ家の外へ。そこは天然サウナ湿度マシマシバージョンである。
無理。圧倒的に無理。
夏は家から出ずにYouTube動画とスマホゲームPCゲームだけして生きていたい。外に出て活動すると普段の3倍体力を使う気がする。ただでさえ抗うつ薬を飲んで騙し騙し「普通」目指して動いているのだ。休みたい。夏を寝て過ごしたい。何もしたくない。5000兆円ほしい。
まあしかし、しんどい、無理、つらいと言いつつ、そう言える場所がある限りはなんとか立ち上がって活動をしはじめるのだ。バイト退勤、明日は大学で作業である。無理をし過ぎないよう予定調節をしなければと思いつつ本日はこのあたりで。